手数料は稼いでも、比較基準には届かない
定数積型プールはドル建て価値が上昇しても、同じトークンをプール外で保有した場合を下回ることがあります。

実際の市場データではなく概念図です。図中のラベルには、ケースとは別の簡略化した例を用いる場合があります。
前提条件
教育用の仮定のケースです。NOVAとUSDXは架空のトークンであり、計算を切り分けるためだけにUSDXは正確に$1を維持すると仮定しています。プロトコルの推奨や、流動性提供者の収益予測ではありません。Imaniは、簡略化した全価格帯の定数積型プールに、$1,000相当の1 NOVAと1,000 USDXを預けます。手数料収入が積み上がるのを見て、流動性提供は二つのトークンの単純保有を上回っているはずだと考えます。
正しい比較対象を設定する
開始時のポジション価値は$2,000です。いったん手数料を無視し、NOVAをx、USDXをyとします。不変量はx × y = 1,000です。この学習用モデルでは、プールの限界価格はy ÷ xです。外部市場でNOVAの価格が変わると、裁定取引によってプール価格がそこへ近づき、流動性ポジションに帰属する資産が変化します。Imaniは常に1 NOVAを保有し続けるわけではありません。
比較対象のポートフォリオは、プールの外で1 NOVAと1,000 USDXをそのまま保有します。NOVAの外部市場価格の変動は同じですが、プールの仕組みによるリバランスは行いません。流動性ポジションを開始時の$2,000だけと比べれば、ドルで増えたか減ったかが分かります。変更していないトークン保有と比べれば、同じ初期資産を保有するより流動性の提供が結果を改善したかという、別の問いに答えられます。
価格変動の大きいトークンが2倍になるとき
NOVAが$2,000に上がるとします。y ÷ x = 2,000とx × y = 1,000を連立して解くと、x = √0.5、約0.707107 NOVA、y = √2,000,000、約1,414.214 USDXです。したがってプールの持分価値は手数料を除き、約0.707107 × $2,000 + $1,414.214 = $2,828.43となります。
単純保有ポートフォリオの価値は、$2,000の1 NOVAと1,000 USDXを合わせて$3,000になります。流動性ポジションは$171.57、約5.72%だけこの基準を下回ります。それでも開始時の価値より$828.43増えています。どちらも正しい説明です。インパーマネントロスという用語は相対価値への影響を表し、ドル建てリターンが必ずマイナスになるという意味ではありません。価格が戻れば差が変わる可能性はありますが、価格の回復も経済的な完全回復も保証されません。
執行費用を隠さずに手数料を加える
この仮定の期間に、Imaniが別途計上する手数料価値$90を受け取るとします。比較を簡略化し、この手数料を不変量の外にある現金として扱うと、決済費用控除前は$2,918.43です。その後、ネットワーク取引費用を合計$25、換金に伴う追加執行費用を$15支払います。純価値は$2,878.43となり、費用控除前$3,000の単純保有基準をなお$121.57下回ります。
同じ条件で公正に比べるため、単純保有ポートフォリオの換金にも$10かかるとします。その純価値は$2,990となり、流動性提供側は$111.57下回ります。実際のプールでは手数料の処理によって準備数量が変わったり、手数料請求権が別管理になったりします。この例では、プロトコルの正確な明細を再現しているかのように見せないため、意図的に手数料を分けています。税金、報酬トークンの価格、再投資は省略しています。こうした省略は前提に明示すべきであり、見栄えのよい年率利回りに埋もれさせてはいけません。
下落は、上昇と反対の利益にはならない
逆にNOVAが半値の$500になれば、手数料を除くプールの持分は√2 NOVAと√500,000 USDX、すなわち約1.414214 NOVAと707.107 USDXになります。価値は$1,414.21です。単純保有ポートフォリオは$1,500です。相対的な不足は再び約5.72%ですが、今回はプールに開始時の$2,000から$585.79の絶対損失も生じています。下落したトークンの保有数量が増えたことだけでは、有利な結果の証拠にはなりません。
この例ではUSDXが$1を維持し、両トークンを移転できることを仮定しています。安定資産とされるものがペッグを外れたり、コントラクトが侵害されたりすれば、この整然とした二価格の式だけでは経済的な結果を捉えられません。同様に、集中流動性では価格範囲の境界と異なる保有構成の推移が生じます。全価格帯用の式を、同じポジションであるかのように狭い価格帯のポジションへ適用してはいけません。
判断に実際に必要なこと
Imaniには、流動性提供への不確実な純報酬が、保有構成のリスク、取引費用、運用上のエクスポージャーに照らして受け入れられると考える理由が必要です。手数料率は実現利回りの約束ではありません。取引量、有効な流動性に占める自分の比率、競合する提供者、トークンの価値は変わりえます。リバランスや価格範囲の移動は追加取引を生み、不利な価格でエクスポージャーを確定させる場合があります。
一つの代替案は、流動性を提供せずに初期の二つのトークンを保有することです。別の選択肢はどちらも保有しないことで、これは形を変えるだけでなく、架空のNOVAへのエクスポージャーそのものをなくします。少額の実験的配分ならリスクにさらす金額を抑えられますが、コントラクトのリスクはなくなりません。規律ある振り返りでは、単純保有の比較基準、すべての資金の流れ、統一した評価時点を記録します。それらがなければ、魅力的な手数料収入に気を取られ、より大きな機会費用や元本損失を見逃すおそれがあります。
価格比がさらに広がる場合を試す
別の手数料なしのシナリオで、NOVAが1,000ドルから4,000ドルへ上昇したとします。同じ不変量から、保有分は0.5 NOVAと2,000 USDXとなり、プール持分は4,000ドルです。一方、元のトークンをそのまま持てば5,000ドルです。ドル価値が倍増しても、相対的な下振れは20%に広がります。
0.5 × 4 000 + 2 000 = 4 000 USD; 4 000 / 5 000 − 1 = −20%
以前と同じ出口費用、プール40ドル・単純保有10ドルを使うと、純額4,990ドルの保有基準に追いつくには、別計上の手数料収入1,030ドルが必要です。これはこのシナリオの会計上の分岐点であり、利回り予測ではありません。同じ最終価格でも経路により出来高、手数料収入、取引費用は変わり、終点の価格式だけで純利益は決まりません。
考え方が間違うところ
開始時の価値だけと比較する
ドル建てリターンがプラスでも、トークンをそのまま保有した場合を下回ることがあります。
APRを保証とみなす
手数料収入は、実際の取引活動と変化する流動性の状況によります。
すべてのプールに全価格帯の計算を使う
集中型のポジションでは、保有構成や価格範囲外での挙動が異なります。
記憶ではなく、判断を試す。
価格が2倍になるシナリオで、流動性提供側の費用が合計$40の場合、純額$2,990の単純保有基準に並ぶには、別途計上する手数料価値がいくら必要ですか?
解答と計算過程を表示
$2,828.43 + 手数料 − $40 = $2,990を解きます。丸めを考慮した必要手数料は$201.57です。仮定した$90より$111.57多くなります。これはこの仮定の経路での会計上の損益分岐点であり、予想手数料収入や保証ではありません。